混成語の長さについて
元のポストが、言語学者以外の人には、取っつきにくくなったので、改めて。
まず、「混成語」とは、次のような語のことです。
ゴジラ (ゴリラ+くじら)
キャベジン (キャベツ+ニンジン)
バイナラ (バイバイ+さよなら)
バトポン (バトミントン+ピンポン)
(窪薗 (1998) より引用)
窪薗 (2008) によれば、混成語には、次の3つの特性があります。
(1) 意味のよく似た2語が混成する。
(2) 最初の語の前半ともう一つの語の後半が結合する。
(3) 結果として出来上がった混成語の長さは、後半の要素の元の長さと一致する。
さて、日本語の単語の長さを測る単位として、モーラ(もしくは拍、だいたい平仮名や片仮名の一文字分に相当する)と音節(だいたい母音の数に一致する)の2つが考えられています。
「ジン」や「トン」や「モー」や「カイ」は、モーラで数えれば、2モーラだけど、音節で数えれば、1音節となります。(モーには、長母音が1つ、カイには、二重母音が1つ入っています。)これらの音節の最初のモーラが自立拍で2番目のモーラが特殊拍と呼ばれます。
ここまでが、前提で、これを元に居酒屋の看板を見ると、「ジンギスカン」の「ジン」の部分を「トリ」で置き換えた例がありますから、「ジン」と「トリ」は、同じ長さと考えられます。音節で考えると、前者は1つで後者は2つですから、長さが合わないことになりますが、拍(モーラ)で数えるとともに2つで長さが一致します。
つまり、「ン」のような特殊拍と「リ」のような自立拍が同等に扱われているということになります。
ちなみに、英語の場合、混成語としては、下のような例があります。
これらを見ると、英語では、長さを音節で測っているということが分かります。
smog (smoke + fog)
snark (snake + shark)
spork (spoon + fork)
brunch (breakfast + lunch)
lupper (lunch + supper)
(例は、窪薗 (2008)より)
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